読書のススメ
本を読むことは己を知ること



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乙川 優三郎

五年の梅 乙川優三郎

五年の梅 乙川優三郎

五編の短編集である

町人や武士の日常の些細な物語である
山本周五郎賞を受賞した作品集なのだそうだ

解説の中に、山本氏の講演の言葉として

「慶長五年の何月何日に大阪城で何があったか
 ということではなくて、その時道修町のある
 商屋の丁稚がどういう悲しい思いをしたか
 その悲しい思いの中から、丁稚がどういうことを
 しようとしたか、それを探求するのが文学の仕事だ」

と書いてあった

乙川さんの小説の世界とはまさにそれだと思う
市井に生きる人々の悲しい思いが綴られている

そしてその悲しい思いから彼らがどのように考え
どのように行動してきたか、事細かに書かれてある

そういう小説を読みながら、自らに置き換えてみて
そこに一筋の希望や癒しを感じる

だから、乙川さんの本は好きだ

乙川 優三郎

屋烏 乙川優三郎

屋烏 乙川優三郎

乙川さんにしてはめずらしい短編集

どれを読んでもほっこりとなごめる

特に新婚2ヶ月の時に、父親を惨殺された息子が
あだ討ちの旅出る

苦節34年経って帰ってくる
妻は待っていた

こういうことって当時はあったのかもしれない

しんみり、のんびり、ほんわか読めるのがいい 

乙川 優三郎

蔓の端々 乙川優三郎

蔓の端々 乙川優三郎

江戸時代の地方のある下級武士の物語である

乙川さんの本を読んでると、しみじみ小説の世界に
入り浸ってしまう

猛暑だろうとお腹が空こうと関係ない
何故だろう?

歯がゆいくらいの優柔不断さはあるものの、それがいい
のかもしれない

主人公は、じっくりと来し方を考える
将来のことも考える、まわりの人々のことも考える

結論は出ない時もあるが、それでもやっぱり心の奥底から
湧き出てくる望みは抑えられない

それを実行すれば、どうなるか?
熟慮に熟慮を重ねようと結局実行してしまう

人生ってそんなもんかもしれない
などと、色んな本を読むたびに感じる


乙川 優三郎

生きる 乙川優三郎

生きる 乙川優三郎

3篇入っているが、「生きる」について

武士とは死ぬことなり、昔からよく言われてきた
いかに死ぬかが武士の価値に関わってくる
生きることではなく、どうやって死ぬかだけが
武士たる者のわきまえであったのだろう

賢君だった藩主が亡くなると、殉死する武士が多かった
ましてや、その藩主に寵愛され出世した武士にとって
追いかけて切腹することは名誉であった

幕府が殉死を禁止する前の時代である
しかし、各藩にはそれぞれ御家の事情もある

次代を担う職責もあろうに、果たして殉死がそれほど
大切なことだったのだろうか?

あえて死なずに生きることによって、藩内の誹謗中傷に
耐えた一人の武士がいる

彼は死ぬわけにはいかなかった
いかに誹られようと生きて御家を守らねばならなかった
そして人生の大事なものを多く失った

武士はいかに死ぬべきかという時代小説が多い中
この本は全く逆のいかに生きるべきかについて
しっとりとした文章でじっくり教えてくれた


乙川 優三郎

冬の標 乙川優三郎

冬の標 乙川優三郎

しみじみといい本だなあと思う

そぉっと心を撫でてもらうような優しい文章
読み始めれば、すぐに乙川さんの世界に埋没
してしまう心地良さ

特に集中するつもりもないのに、周囲の音が
消えていき、ふんわりと本にひたってしまう

最期まで読んで改めて表紙の絵を眺める
二羽の烏が寄り添って、雪の中の枝に止まっている
凍えそうになっても、それが希みだったのね

素晴らしい作家だと溜め息が出る
直木賞の作品もあるそうだから、次回はぜひ
読んでみたいと思う



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